シーン制のシナリオでGMを行う際に、マスタリングしやすい書式等を解説します。この使いやすいというのは、あくまで私がですが、初心者の方が参考にできる内容だとは思います。

1.ハンドアウト
 ・PCの置かれた状況(家族や友人及び敵対関係、過去設定)
 ・シナリオ内のモチベーション
 以上を漏れのないよう記述する。できれば、読み上げて補足を加えればオープニングになるようなものが望ましい。
 尚、複数枚にわたっても良いが、プレイヤーが他人のハンドアウトを確認する手間を考えると、全員分が一枚の紙に収まっていた方が便利。

 □使い方
 オープニングシーンの内容は基本的にハンドアウト+αである。オープニングではこのハンドアウトとシーン割を見ながらマスタリングを行う。従って、シナリオ開始時は情報項目一覧の上に重ねておき、オープニング終了後に背景設定の後ろに挟む。


2.シーン割り
 ・シーンでPC・NPCに取らせる行動
 ・PCに渡す情報
 行動は5W1Hに注意してオープニングから想定している順に書く。特に場所と時間はシーンの都合上指定されているなら必ず書くこと。PCに渡す情報に関しては、簡単に記述して情報項目一覧に回す。但し、情報提供の演出に関してはある程度記述した方が良い。

 例としてあげると

○PCXがAにて異変に気づくシーン
  ▲▲が☆☆だということに周りの一般人の様子から気づく。

○PCYがNPCZから連絡を受けるシーン

○夜、NPCZが襲われるシーン
  敵の素性

 このような感じで書く。枚数は可能な限り少ない方が良い。

 □使い方
 この紙の目的は、シナリオ中常に流れを確認すること、またアドリブでシーンを変更した際に後にどの程度影響が出るかを把握するためである。アドリブでNPCの演出やPCのシーンを増やしたり、PCが予定外の行動を起こした場合に後に与える影響を逐一チェックする。そのため、常にマスタースクリーンに挟む資料の一番上に出しておくこと。
 使用する際に注意しなければならないのは、当然のことながらこのシーン割りはあくまで仮のものであると言うことである。合流シーン以降はPCの行動によってシーンは変化する。シーン割りはあくまでPCの行動がシナリオに与える影響の指標とする物であって、PCの行動を縛る物ではない。
 シーンを変更する場合に重要なのはPCに渡す情報項目である。どのような流れを取るにしろ、情報だけは全てPCの前に提示しなければ、クライマックスへと繋がらない。PCの行動が予定から外れ、情報が出ない場合は、イベントを起こしたり、強制的に情報収集シーンに移行したりして情報を引き出させる必要がある。従って、シーン割りを見るときはそのシーンが現在の流れで発生するか、そのシーンに情報項目はあるかに特に注意して見ることとなる。


3.情報項目一覧
 ・シナリオ中でミドル以降に提示する情報の全て
 シーン割りで書いた項目を箇条書きで並べ、詳細を記述する。

 □使い方
 この紙の目的は渡した情報を管理することである。オープニング終了後、マスタースクリーンで隠しながら机上に置く。シーン毎に渡した情報にチェックを入れておくことが望ましい。
 気をつけなければならないのは、PLとGMで情報の共有ができているかである。渡したはずの情報をPLが気づいていなかったり、忘れていたりすることは多い。PL同士の会話に耳を傾け、その中で情報が出てきているかも確認する。各情報がPLにきちんと渡っていないようであれば、別の形で再び渡すか、GMとしてPLと会話して誘導する。

4.背景設定
 ・事件の概要
 ・人物の経歴と考え方、シナリオ内での行動
 ・組織やアイテムなどの設定
 ・敵などのデータ
 あげた順に思いつく限り書く。複雑な事件の場合はタイムテーブルの併用もお勧めする。

 □使い方
 基本的には予想外のシーンや演出の必要があったときに参照する。何かイベントを起こしたり、NPCがGMの思いもよらない話題を振られたときには、この設定に矛盾しないよう演出する。
 希に、シナリオを進めていくと、演出などに間違いがあったり、そもそもシナリオに矛盾があったりすることに気づくことがある。些細なミスや即座に間違いに気づいた場合はその場で謝り訂正すればよい。しかし、シナリオの根幹と矛盾した場合は即座に休憩を取り、設定の書き換えや追加で矛盾点を解消できるかどうか考える。可能であれば既存のシナリオを書き換えて進め、無理であればGMが自力で気づいた場合は開き直って矛盾に気づかせないよう誘導する、そしてPLにばれた場合やそもそもの指摘がPLからだった場合は謝って適切な処理を取る。この際大切なのはシナリオの変更は必ず休憩中に行うことである。間違ってもシナリオ中にシナリオを変更してはいけない。シナリオ中に変更したくなった場合は、シーンの終わりに休憩を取り矛盾が発生しないか検討してから変更すること。
 また、通常の休憩ではこれとシーン割りを参照して次の展開と全体の流れを確認すると良い。